大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福岡高等裁判所那覇支部 平成4年(行コ)2号 判決 1993年5月27日

主文

本件控訴を棄却する。

当審で追加された控訴人らの予備的請求を棄却する。

控訴費用は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第一  控訴人らの求めた裁判

1  原判決を取り消す。

2  (主位的請求)

被控訴人は、豊見城村に対し、金三億〇五〇四万一一〇〇円及びこれに対する平成元年六月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

3  (当審で追加された予備的請求)

被控訴人は、豊見城村に対し、金一六四二万五二九〇円及びこれに対する平成四年九月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

一  本件は、豊見城村の住民である控訴人らが、村長であった被控訴人に対し、被控訴人が村有地を違法な一般競争入札により売買して豊見城村に損害を与えたとして、地方自治法二四二条の二第一項四号に基づき、豊見城村に代位して、損害賠償の支払を求めた事案である。

二  当事者間に争いのない事実

1  控訴人らは、豊見城村の住民であり、被控訴人は、昭和五七年一〇月から平成二年一〇月まで同村長であった者である。

2  豊見城村は、昭和六二年国体の馬術競技場等として使用するため公有水面を埋め立てて造成した土地の一部すなわち同村字与根西原五〇番三八所在の雑種地一四万六〇五一平方メートル(以下「本件土地」という。)を、国体終了後、用途をゴルフ場と指定して一般競争入札の方法により売却することとし、入札最低価格を二三億四六四七万円(但し、最高限度価格を設定する。)とすることなどを定めた村有地処分要綱を作成するとともに、昭和六三年一月一六日、本件土地の競売公告を出した。

そして、豊見城村は、右最高限度価格を二四億五六七五万四〇九〇円と決定した。

3  同月二五日、本件土地の入札が行われ、守札観光開発株式会社(以下「守札観光」という。)が二四億四〇三二万八八〇〇円、大和観光開発株式会社(以下「大和観光」という。)が二五億一〇七二万二九〇〇円、那覇カントリー株式会社なる者(以下「那覇カントリー」という。)が二七億四五三六万九九〇〇円の各申込みをしたが、後二者の申込みは、いずれも最高限度価格を超えるものであり、同日、豊見城村は、守礼観光を落札者と決定した(以下「本件入札」という。)。

4  被控訴人は、豊見城村長として、同月二六日、守札観光との間で、本件土地を右落札価格の二四億四〇三二万八八〇〇円で売却する旨の仮契約を締結し、同年三月一七日、同村の議会の議決に付すべき契約及び財産の処分に関する条例三項の規定による同村議会の議決を経、同月二四日、公有水面埋立法二七条一項の埋立地に関する権利の処分にかかる知事の許可を受けて、本契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し、同年四月四日、守札観光に対し所有権移転登記手続をした。

5  控訴人らは、後記のとおり本件売買契約は地方自治法二三四条二項に反する入札手続によるものであり、これにより豊見城村が損害を被ったとして、平成元年三月一五日、同村監査委員に対し、必要な措置を求める監査請求をなしたが、同監査委員は、同年五月一二日右監査請求を棄却し、右結果はそのころ控訴人らに通知された。

三  主たる争点とこれに関する当事者の主張

1  控訴人らの主位的請求は、那覇カントリーによる最高申込価格と本件売買価格との差額が損害であるとして、その支払を求めるものであり、争点は次のとおりである。

(一) 本件入札において最高限度価格を定めそれを超える申込みを無効としたのは地方自治法二三四条三項に違反するか(争点一)。

(1) 控訴人ら

地方自治法二三四条三項は、一般競争入札及び指名競争入札の方法について定めているところ、その但し書及び同法施行令一六七条の一〇により、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、最低制限価格を設けて、予定価格の制限内で最低の価格をもって申込みをした者を落札者とせず、予定価格の制限内で最低制限価格以上の価格をもって申込みをした者のうち最低の価格をもって申込みをした者を落札者とすることを認めているが、普通地方公共団体の収入の原因となる契約については、右但し書のような例外を認める規定はなく、予定価格である最低制限価格を超える価格の申込みをした者のうち最高の価格をもって申込みをした者を落札者とする方法を認めているのみであり、最高限度価格を定めて、最低制限価格を超える申込みをした者のうち、最高限度価格の制限内で最高の価格をもって申込みをした者を落札者とする方法は認めていない。

これは、行政解釈(自治省)の採るところであり、本件入札以外に、普通地方公共団体の収入の原因となる契約について、最低制限価格のほかに最高限度価格を定めて入札をした実例はない。

本件土地が公有水面埋立法に基づく埋立地であり、同法二七条等の規制があるとしても、一般競争入札により売却する以上、法定された方式に従わなければならないことは当然である。右規制により一定の価格の範囲内で売却せざるを得ない場合には、随意契約の方法により売却すべきであり、一般競争入札方式によるべきではない。

(2) 被控訴人

地方自治法二三四条三項但し書及び同法施行令一六七条の一〇が、一般競争入札によって工事又は製造の請負契約を締結する場合について、予定価格である最高制限価格を定めるほか、それ以下の申込みを無効とする最低制限価格を設定し、最高制限価格から最低制限価格までの範囲内で最低の価格をもって申込みをした者を落札者とする方法を認めているのは、一般の取引価格や常識を逸した低価格による契約の不完全な履行によって結果的に普通地方公共団体が損害を被るという弊害を防止するためであると解され、このような法意に照らすと、普通地方公共団体の収入の原因となる契約を締結する場合においても、当該契約の種類、目的、性質等の具体的事情からして、無制限に高額の入札をした者との契約をすることによって結果的に普通地方公共団体に損害を生ずるおそれがあるなどの合理的理由がある場合には、あらかじめ最高限度価格を設定し、最低制限価格から最高限度価格までの範囲内で最高の価格をもって申込みをした者を落札者とすることとしても、一般競争入札に関する法令の趣旨を没却しない限り、普通地方公共団体の長の合理的な裁量判断の範囲内の行為として是認されるものと解される。

本件土地は、公有水面埋立法に基づく埋立地であり、処分については知事の許可を要するが、処分により不当な受益をしないことが許可の条件の一つとなっており、許可のない処分は無効である(公有水面埋立法二七条一項、二項三号、二八条)。本件土地の売買については、一般競争入札の方法を採用しつつ、法令の制限を遵守し県知事の許可が受けられるように最高限度価格を設定したものであるから、それは、普通地方公共団体の長の合理的な裁量の範囲を逸脱ないし濫用したものでないというべきである。

仮に本件売買契約の締結が地方自治法に違反するとしても、当初より処分価格を決定の上公募し、抽選で処分すべきであったとした場合、処分価格は公有水面埋立法二七条、同施行規則六条の規制があるため、一般的に原価主義によって計算され、本件土地の場合処分価格は最低売却価格と同額の二三億四六四六万七七三六円と決定され、本件売買契約の売買価格よりも低額となったはずである。したがって、本件売買契約により豊見城村には何らの損害も生じていない。

(二) 本件入札において最高限度価格を超える入札を無効としたのは、事前の無効事由の公告を義務づけた豊見城村契約規則に反してなされたものかどうか(争点二)。

(1) 控訴人ら

豊見城村契約規則五条一項、二項によると、一般競争入札により契約を締結するときには、入札期日一〇日前までに新聞その他の方法により「入札の無効に関する事項」その他所定の事項を公告しなければならないとされているが、この規定からすると、公告で無効と定められた事項に該当しない入札については、これを無効とすることが許されないこととなる。

本件入札については、新聞公告がなされたものの、「入札の無効に関する事項」は記載されておらず、入札参加者に対する村有地処分要綱の交付をもって右事項の公告があったとしても、右要綱によると、無効な入札の事由としては、<1>入札資格のない者の入札、<2>記入事項が明確を欠き判断できない者の入札、<3>その他、法令条例の規定に違反した入札及び村が指定する入札用紙を使用していない入札、以上の三つに限られており、最高限度価格を超えていることは無効事由とはされていない。

大和観光及び那覇カントリーの各入札は、いずれも最高限度価格を超えていたが、右の無効事由には該当しないのであるから、これらを無効として取り扱ったのは豊見城村契約規則に反して違法である。

(2) 被控訴人

本件入札の参加者に交付された村有地処分要綱中には、入札価格について、「入札最低価格二三億四六四七万〇〇〇〇円(但し、最高限度額を設定する。)」「入札前に村は予定価格(最低価格及び最高限度価格)を設定する。」旨などが記載されていたから、本件入札が最高限度価格付の一般競争入札で行われ、それを超えた入札が無効となることは明らかであった。したがって、最高限度価格を超えた入札を無効とする旨の具体的な記載がなくても、それを超えた入札を無効としても違法ではない。

2  控訴人らの予備的請求は、本件入札の最高限度価格と本件売買価格との差額が損害であるとして、その支払を求めるものであり、これについて、当事者双方は、次のとおり主張する(争点三)。

(一) 控訴人ら

右に述べたとおり、本件入札については、最高限度価格を超えた入札を無効とすることの公告がなされていないから、最高限度価格を超えた入札について、その全体を無効とすることはできず、最高限度価格の範囲内の部分については有効とすべきであり、したがって、大和観光及び那覇カントリーの各入札は最高限度価格の申込みをしたものとして取り扱い、くじによりいずれかに落札させるべきであった。

(二) 被控訴人

控訴人らの右主張は、独自かつ特異な解釈に基づくものであり、主張自体失当である。

第三  証拠関係(省略)

第四  争点に対する判断

一  争点一について

1  豊見城村が最高限度価格を設定して本件土地の一般競争入札をした経緯についてみるに、乙一号証、四ないし七号証及び原審証人金城豊明の供述によると、豊見城村は、同村字与根地先の公有水面約二九万三〇一六平方メートルについて、昭和六二年二月一四日沖縄県知事から埋立免許を受けて、埋立を行ったが、免許出願に際しては、昭和六二年国体の終了後、埋立地のうち約八万〇六一七平方メートルを公共用地とし、残余の約二一万二三九八平方メートルを有償で処分して埋立事業費に充当することとし、このうち本件土地については、その地質が軟弱であること、航空法上の制約があること、村の財源確保や雇用促進に資することなどの理由から、用途をゴルフ場として指定して処分すること、その処分方法については、ゴルフ場という特殊な土地利用であり、特定少数企業を対象とした処分となるため、周辺地価より低い価格で処分することは不適当との政策的判断から、抽選により相手方を決めて随意契約により処分する方法によらず、一般競争入札の方法を採用することがあらかじめ決められていたこと、豊見城村は、本件土地を一般競争入札に付するについて、入札最低価格を二三億四六四七万円とすることを決めたが、これは、埋立地全体に要した費用を有償で処分する埋立地の面積で除した額を単価として本件土地の面積を乗じて算出したものであったこと、そして、同村は、公有水面埋立法二七条及び同法施行規則六条によって埋立地の処分により不当な受益をすることが禁止されていて、これに反する場合には、本件土地の処分について県知事の許可を得られなくなるおそれがあることや、社会問題化している地価高騰を少しでも抑え、周辺地価との均衡を保つ必要があることなどから、無謀な価格による処分を避けるため、最高限度価格を設定することとし、右入札最低価格にその四・七パーセントの利益率を計上して、最高限度価格を二四億五六七五万四〇九〇円と決め、本件土地の一般競争入札を実施したことが認められる。

2  ところで、地方自治法二三四条三項は、競争入札の方法について、「契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとする。」と定めているが、その文理の合理的解釈からして、普通地方公共団体の収入の原因となる契約については、最低制限価格を定めて、それ以上の範囲内で最高の価格をもって申込みをした者を相手方とし、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、最高制限価格を定めて、それ以下の範囲内で最低の価格をもって申込みをした者を相手方とすることを意味するものというべきである。そして、同項但し書及びこれを受けた同法施行令一六七条の一〇によると、例外的に、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、最高制限価格以下の価格をもって申込みをした者のうち、最低の価格をもって申込みをした者以外の者を相手方とすることができることを認め、その場合として、<1>一般競争入札により工事又は製造の請負の契約を締結しようとする場合において、最低の価格をもって申込みをした者の当該価格によっては契約に適合した履行がされないおそれがあると認めるとき又はその者と契約を締結することが公正な取引の秩序を乱すこととなるおそれがあって著しく不適当であると認めるときは、最高制限価格以下の価格をもって申込みをした他の者のうち最低の価格をもって申込みをした者を相手方とすること、<2>一般競争入札により工事又は製造の請負の契約を締結しようとする場合において、当該契約の内容に適合した履行を確保するために特に必要があると認めるときは、あらかじめ最低制限価格を設けて、最高制限価格以下で最低制限価格以上の価格をもって申込みをした者のうち最低の価格をもって申込みをした者を相手方とすること、以上の二つを規定している。以上によると、地方自治法は、普通地方公共団体の収入の原因となる契約については、最低制限価格を定めるほかに、最高限度価格を設けることは許していないようにも考えられないではない。

しかしながら、同法二三四条三項但し書及び同法施行令一六七条の一〇によって同法二三四条三項本文の例外が定められたのは、契約の不完全な履行によって結果的に普通地方公共団体が損害を被るという弊害や、常識外れの価格の入札によって取引秩序に混乱を与えることを防止するためであると解され、また、そもそも地方自治法が財務会計行為に関して諸規定を置いているのは、普通地方公共団体の財務会計行為が公正かつ厳正に行われることを確保し、もって民主的な地方自治を確立する目的に出たものと解される。このような法意に照らすと、普通地方公共団体の収入の原因となる契約についても、普通地方公共団体が被る損害を防止し、あるいは、取引秩序の維持その他公益目的を達するために必要性が認められるときには、最低制限価格のほかに、最高限度価格を設定し、最低制限価格以上で最高限度価格以下の範囲内の申込みをした者のうち最高の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とする一般競争入札の方法を実施したとしても、直ちに同法二三四条三項の趣旨を逸脱する違法なものということはできない(なお、乙八ないし一〇号証によると、日本国有鉄道清算事業団による所有土地の売却について、近時、売却しやすく、かつ、地価の上昇を助長しないために上限価格付き競争入札が実施されていることが認められるが、この事実は、公的機関の所有地を売却するに当たり、周辺の地価上昇を招来しないように配慮する必要性のあることを示している。)。

これを本件についてみると、前記のとおり公有水面埋立法二七条及び同法施行規則六条によって禁止されている不当な受益を得ることなく、かつ、地価高騰を抑止するため周辺地価との均衡を保つため、最高限度価格を設けたものであるから、公益目的を達成するために必要性があったものということができ、その決定価格も合理的範囲内にあったものと認めるのが相当であるから、本件入札において最高限度価格を設定したことをもって違法ということはできない。

控訴人らは、右のような必要性がある場合には、随意契約によるべきであり、一般競争入札の方法を選択する以上、最高限度価格を設定することは許されない旨主張するけれども、本件土地の売却について、随意契約による方法が採り得たとしても、そのことから直ちに、最高限度価格を設定して一般入札競争をしたことが違法ということはできない。実質的にみても、この方法は、ある程度の範囲内の価格で契約の相手方を選択できるという長所があり、随意契約による方法と比較し、普通地方公共団体にとって不利益となることはないものと考えられ、控訴人の主張は採用できない。

3  以上のとおり、本件入札において、最高限度価格を設定したのは違法ではなく、したがって、それを超える大和観光及び那覇カントリーの各申込みを無効としたのは違法ではない。

二  争点二について

甲三号証によると、豊見城村契約規則五条は、一般競争入札によって契約を締結しようとするときには、原則として入札期日一〇日前までに、入札に付する事項、入札の日時及び場所等の必要事項を新聞その他の方法によって公告しなければならないと定め、右必要事項の中に「入札の無効に関する事項」が含まれていることが認められる。

そして、乙二号証の一、二及び三号証、原審証人金城豊明の供述及び弁論の全趣旨によると、昭和六三年一月一六日、琉球新報及び沖縄タイムスの地元新聞二紙に本件入札の競売公告が掲載されたこと、同公告には、処分所在地及び面積、指定用途、入札資格、申込受付期間、入札期日及び場所が明記されていたほか、「その他、村有地処分要綱による。」旨の記載がなされていたこと、その後、右公告に応じて入札申込参加の意思を表した守礼観光、大和観光、那覇カントリーほか二名に対し、一通ずつ村有地処分要綱が交付されたが、同要綱には、右公告の記載事項のほか、入札最低価格として「二三億四六四七万円(但し、最高限度価格を設定する。)」、入札の方法に関して「次の各号の一に該当する入札は無効とする。<1>入札資格のない者の入札 <2>記入事項が明確を欠き判断できないもの <3>その他、法令条例の規定に違反した入札及び村が指定する入札用紙を使用していない入札」旨が記載されていたが、右入札最低価格未満の入札、最高限度価格を超える入札が無効になるとの記載はなかったこと、同月二三日に開催された現場説明会及び入札期日当日に、豊見城村職員から入札申込者に対し、最高限度価格を超えた入札は無効である旨の説明がなされたことが認められる。

以上認定の事実に基づき検討すると、新聞による競売公告中には、入札の無効事由に関する記載はなかったものの、同公告に記載のない事項については村有地処分要綱による旨の記載がなされており、その後、本件入札において申込みをした三者らに対しては、村有地処分要綱が交付され、同要綱中には入札最低価格の記載とともに最高限度価格を設定することが明記され、豊見城村職員による口頭説明もあったのであるから、本件入札申込者にとって、最高限度価格を超える入札が無効であることは明らかにされていたものといえる。村有地処分要綱の入札の無効に関する記載中には、その旨の記載がないけれども、入札最低価格未満の入札が無効であるのと同様、入札最低価格の記載及び最高限度価格を設定する旨の記載によって明らかであるとの理由から記載が省略されたにすぎないものと考えられる。

したがって、本件入札について、最高限度価格を超える入札が無効となるとの公告を欠いていたとはいえず、豊見城村契約規則に反する違法はない。

三  争点三について

争点三についての控訴人らの主張は、争点二についての控訴人らの主張、すなわち、村有地処分要綱の入札の無効に関する記載中に最高限度価格を超える入札が無効である旨記載されていないので最高限度価格を超える入札の無効が村有地処分要綱の記載から明らかでなく、そのため、本件入札申込者にその旨明らかにされていないことになるという主張を前提とするものと解される。したがって、右のとおり争点二についての控訴人らの右主張が失当である以上、争点三についての控訴人らの主張を採用する余地はない。

第五  結論

以上によると、控訴人らの主位的請求及び予備的請求は、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。なお、被控訴人の本案前の申立が採用できないことは、原判決理由欄一の2及び3に記載のとおりである。

よって、本件控訴及び当審で追加された予備的請求を棄却することとし、主文のとおり判決する。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例